ラトビア便り

ラトビア在住の日本人男性が、この国の文化を紹介。音楽情報などを通じてその魅力を探っていきます。

2008年10月10日

現代ラトビア・オルガン音楽コンサート

 9月末、トルコのイスタンブールを旅行した。リーガからは直行便が毎日出ており、所要3時間と便利である。この旅行について書いても、ブログの趣旨から逸脱してしまうだろうし、日本人によるイスタンブール旅行記は本も出ており、インターネット上にも山ほどあるので特に書くつもりはないが、20世紀初頭に西欧近代化を成し遂げたとはいえ、やはりイスラム教が息づいている国であり、私にとっては初めてのイスラム圏訪問で、興味深いものがあった。ある土産物店に入ってみたら、経営者が日本人女性で、そこの客にラトビア人夫婦がいたというのは、何かの因縁だろうか。
 さて、10月10日、バスクスの作品を中心とした現代ラトビア作曲家らのオルガン作品を聴く機会があった。会場は言わずと知れたリーガ大聖堂。リーガでオルガンが聴ける教会は他にもあるが、何といってもここ大聖堂が本場である。入口にバスクス氏本人が立っていて、挨拶して少し話をした。
 1曲目はそのバスクスのCantus ad pacem(ラテン語で「平和の歌」)という1984年の作品。この作品のCDが出たので、コンサートはそのプレゼンテーションを兼ねている。2曲目は女性作曲家エインフェルデの『アベ・マリア』。わかりやすい旋律の曲である。続いてカルソンスが、独フォルストの教会塔修復を記念して献呈した「幻想曲とパッサカリア」という1992年の作品。その次は、この演奏会で唯一の故人の作曲家で、作家などとしても活躍した才人マルギェリス・ザリンシュ(1993年没)の組曲『クルゼメ風バロック』より『エードレのクーラント』。エードレは、西部クルゼメ地方の小都市で、瀟洒な教会がある美しい町である。バロックの様式ながら、ラトビア農民の土俗的な雰囲気もあわせもった好もしい作品。最後はバスクスに戻り、2005年に作曲されたCanto di forza(あえて訳せば『力の歌』とでもなろうか。たぶんイタリア語)。率直にいえば、最初の『平和の歌』が曲名から想像のつかない、つかみどころのない作品であったのに対し、この『力の歌』は、荘厳さに満ちあふれた立派な作品であり、日本で演奏される機会があってもいいのではないかと思った。実はこれには別の編曲があり、なんと日本でも有名なベルリン・フィルの12人のチェロ奏者に捧げられている。彼らの演奏でも聴いてみたいものだ(そちらの初演は2005年秋とのこと)。

2 Comments:

Anonymous 匿名 said...

こんにちは。
オルガンコンサート、しかも、ラトヴィアの作曲家特集というのはとても魅力的ですね!

リガ大聖堂は残響が長く、そして、美しく保たれることで有名で、合唱曲やオルガン曲をこの大聖堂で演奏することを前提として作曲する人もいると聞いたことがあります。

ところで、このCDは輸入盤として日本でも買えるのでしょうか?

2008年10月15日水曜日 12:12:00 GMT+3  
Blogger Gr said...

ぴらーしゅ様
コメントをありがとうございます。
しばらく休眠状態であったにもかかわらず、再びコメントをいただくようになって嬉しいです。他の読者の皆様におかれても、今後ともよろしくお願いします。
今回紹介したCDですが、ここで購入できるようです。
http://www.wergo.de/shop/en_UK/3/show,250542.html
これはメーカーから直接購入ということなのでしょうが、日本では下記のようなのがあります。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2781663/ref=2794289
値段や送料を比較された上で、購入されるといいと思います。念のため申し上げておきますが、私はいずれのCDメーカーあるいは販売店とも関係ありませんので、ご了承ください。
おっしゃる通り、大聖堂は残響時間が長く、特にバスクスの最後の曲では、それが最大限に生かされ、心行くまで余韻を楽しむことができました。作曲者がそれを考慮して作曲したのは間違いないでしょうね。

2008年10月15日水曜日 20:45:00 GMT+3  

コメントを投稿

<< Home