ラトビア便り

ラトビア在住の日本人男性が、この国の文化を紹介。音楽情報などを通じてその魅力を探っていきます。

2007年4月6日

フクロウ民族オーケストラ

 前回、記録的な暖かさだと書いたが、今度は寒い。今日(4月6日)から9日までイースター休暇なのだが、どうも春が来たという実感がわかなくなってしまった。
 さて昨日は、表題のような名前のグループによるコンサート「この国で、あの国で」が大ギルドで行われたので、行ってみた。なお、たびたび記している小ギルドと、この大ギルドは向かい合わせに位置しているが、まったく違うホールである。
 なぜ「フクロウ」というかというと、このグループを率いる作曲家の姓プーツェが、普通名詞だと「フクロウ」を意味するからである。また、今回のコンサートの名称(同名のCDも出ている)はラトビア語で「シャイゼメー、タイゼメー」というのだが、「タイゼメー」は「タイ(東南アジアの)国で」と偶然一致するので、響きが面白いというわけである。ただ、タイの音楽を取り入れているわけではない。ラトビアの音楽をベースに、現代風にアレンジしたものである。
 ボーカルは女性二人、一人はバイオリンも弾き、もう一人は時々打楽器も担当する。歌唱法は民謡を歌うときの声を張り上げる感じの(うまく表現できなくてすみません)歌い方のまま。しかし、そこにエレキベース、アンプをつけたフォーク・ギター、キーボード。これではロック・バンドである。フクロウ師匠は主にキーボードを担当。しかも、そこにオーボエが加わっている。担当は独立系室内オーケストラの指揮者としても活躍するノルムンツ・シュネー氏である。
 このような編成で、一体民族音楽をどうアレンジするのだろうか。それはもう聴いてみるしかないのだが、フクロウことプーツェ氏の魔術としか言いようがない。これらの楽器、一癖も二癖もある個性派揃いのメンバーが、何の違和感もなく溶け合っている。休憩を入れず2時間近くに及んだが、時間は瞬く間に過ぎた。巨匠プーツェ氏のトークも面白く、プログラム進行も見事。そして客席の雰囲気のよさ。ラトビア人がこういう音楽を心から楽しんでいる様子が伺われ、イースター前の晩のひと時を心ゆくまで堪能したのであった。