ラトビア便り

ラトビア在住の日本人男性が、この国の文化を紹介。音楽情報などを通じてその魅力を探っていきます。

2008年10月24日

「ナーラ」

 10月23日、久しぶりにオペラを見に行った。前回オペラ座に足を運んだのはいつだったか覚えていないが、オペラそのものを見たのはひょっとするともう1年半ぶりかもしれない。今回見たのは日本ではあまり有名でないかもしれないが、ドボルジャークのオペラである。でも詳しい人なら、「ドボルジャークのオペラにナーラなんて作品、あったっけ?」と思うに違いない。「ナーラ」というのは、「ルサルカ」(チェコ語で「水の精」、ロシア語も同じ)を、ラトビア語に訳したものだ。といっても、オリジナル通りチェコ語の台本による上演で、ラトビア語と英語の字幕付きである。以前テレビで、この「ナーラ」のリハーサル風景など、まさに舞台裏の模様をやっていて、ぜひ本番を生で見たいと思っていた。
 このブログでドボルジャークのオペラを詳しく説明する必要があるかわからないが、ラトビアの国立オペラについては、音楽的なレベルが高いことは太鼓判を押したい。私はドイツやイタリア、オーストリアのオペラを本場で生で見たことがないので、ラトビアのが相対的にどれほどのレベルか、自信がなかったが、1年半前に東京からさる音楽関係者がリーガに来られて、一緒に見に行ったとき、「音楽的なレベルは高いですね」とおっしゃっていたので、我が意を強くした。

3 Comments:

Anonymous 匿名 said...

「ルサルカ」のラト題名が、1語である(と思はれる)「ナーラ」であるとすれば、ラトには“水の精”が存在する、のだらうか。まぁ「ザシキワラシ」だって、同様なんですが。古来、吾々は豊かな民話や説話に囲まれて育ってきた、ってこつなんでせうな。ほんで、ペーテリス・シュミット博士の研究書に、ソイツはゴ登場なさるので?

2008年10月29日水曜日 22:47:00 GMT+2  
Blogger Gr said...

清少納豆さま
実に鋭い質問をありがとうございます。
実は、私も、ラトビア神話に水の精なんて出てきたっけ?と思い、気になって調べてみたのです。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ラトビア人の民族意識覚醒運動がおこり(当然独立を求める動きに発展したわけですが)、その時代に活躍した知識人の一人で、J.アルナーンスという人がいました。農民の話し言葉であり、あまり書かれることのなかったラトビア語を、近代文明に即した「立派な文章語」にすべく、新しい事物や概念を意味する語彙を考案するなどして貢献した人です。ちなみにリーガ中心部の、彼の名を冠した通りには、戦前日本公使館があったと言われています(実は、これは本当なのだろうか、と若干疑問なのですが)。
前置きが長くなりましたが、このアルナーンス大先生が、ラトビアにもこの水の精を表す単語が必要だと考えて、「(水に)潜る」という意味の動詞から造語したものです。だから、シュミッツ師匠の本はまだ確認していませんが、わざわざ近代になって造語するということは、伝統的には水の精という概念はなかったと思われます。まだまだ研究が必要ですね。

2008年10月29日水曜日 23:19:00 GMT+2  
Blogger Gr said...

補足ですが、1単語でそのようなをあらわす単語がなかったとしても、「水の/精」のように2単語で言い表すことはあったようなので、もう少し調べてみる必要がありそうです。また何かわかったら報告します。

2008年10月29日水曜日 23:23:00 GMT+2  

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