ラトビア便り

ラトビア在住の日本人男性が、この国の文化を紹介。音楽情報などを通じてその魅力を探っていきます。

2006年12月10日

散文朗読会

 12月最初の週末である2,3日に、若手作家を中心とした朗読会が、いくつかの会場を利用して行なわれた。
 今年で3回目だったらしい。詩の朗読会は以前から、9月頃に開かれている(私は去年、参加したことがある!)が、散文の方はまだ始まったばかりである。やはり詩の方が人気があるのだろう、1週間あまりにわたって開かれるあちらと違い、散文の方は小ぢんまりとしたものである。それでも文芸誌の編集者らが集まり、審査を行なって最後に授賞式で幕を閉じるのである。
 初日12月2日(土)の午後、新聞ディエナ紙の本社ホールを利用しての朗読会を聴いてみた。殆どがラトビア人による、ラトビア語での朗読なのだが、若手ロシア系詩人のセルゲイ・チモフェーエフ氏の朗読もあった。彼はこのイベントでは、BGMを手がけるなど大活躍している。今回の彼の朗読は最初に少しロシア語で、その後はラトビア語であった。
 翌3日(日)の昼は、「アンダルシアの犬」というレストランを借り切って、若手作家による朗読会が行なわれ、同時に昨年の朗読会が本になり、そのお披露目があった。司会は若手の男性で最も活躍しているパウルス・バンコウスキス。彼はソ連崩壊後、ソ連時代のラトビア社会というテーマにいち早く取り組んだ作家として注目されている。
 このように若手とはいってもかなり有名な作家も、参加している。その一方で、プロではない一般の人も参加する機会があった。3日(日)の夕方5時からは、リーガ城の中にある文学博物館にて、駆け出しの作家やアマチュアの人たちの作品朗読があった。
 同日8時からは、しばしば文化イベントが行なわれる鉄道博物館ホールで、最後の朗読会が催された。若手女性作家のインガ・アーベレ、ノラ・イクステナなどのラトビア語による朗読があったのはもちろんだが、エストニアやアイルランドの作家が英語で朗読したり、ロシア人でラトビアの詩人ライニスをテーマとした作品などを書いているロアリド・ドブロベンスキー氏が最初だけラトビア語、あとはずっとロシア語でこっけいな作品を読んだ。ロシア語の分かる者は抱腹絶倒だったのだが、そうでない人はキョトンとしていて、現在のこの国の言語をめぐる状況がよくわかる。