ラトビア便り

ラトビア在住の日本人男性が、この国の文化を紹介。音楽情報などを通じてその魅力を探っていきます。

2008年3月11日

リエパーヤ

 3月10日、西部のリエパーヤという港町に行ってきた。ソ連時代は軍港があり、外国人は訪問できなかった。帝政ロシア時代には、バルチック艦隊がここから日本に向かって出航したことは、戦史好きの人なら知っているかもしれない。それより以前、ここを視察した日本人もいるのだが、それについては別の機会に取り上げたい。
 前日は西部の別の町にいたので、早朝そこからバスでやってきた。目的は2つあり、ある教会のオルガンを見ることと、教育学アカデミーという大学で本を探すことだった。
 アンケートによれば、ラトビアを訪れる外国人観光客(といってもリトワニア人やエストニア人が多いのだが)の約7割がリーガを訪れ、リエパーヤを訪れるのは7%ぐらいだったと思う。リーガからの列車は1日たった1往復だが、駅前にはバスターミナルがあり(駅がバス待合室や切符売り場を兼ねている)、バスの便は頻繁にある。南北に細長いので路面電車が1系統通っており、その他バスが何系統かある。駅から町に出るには徒歩でもよいが、路面電車を使うと楽だ。はっきり言ってこの区域は美しい町並みとはいえない。そういうわけで、観光資源が豊富だ、とはお世辞にもいえないこの町は、以前このブログで書いたが、音楽が盛んであり、人口9万人程でありながらプロオーケストラを持ち、たびたび国際ピアノフェスティバルや、ジャズ・フェスティバルなど、音楽祭を開催しているのはすばらしいことだと思う。
 そしてこのオルガンである。いくつか他の教会を回った後、件の教会にやって来た。付近は人も交通量も多い。立派なオルガンがあるといっても、教会は老朽化が進んでみすぼらしい姿をさらしており、痛々しい。とても観光名所にはならない。100年前は世界最大だったというオルガンが、こんなところにあるなんて、知らなければ想像もできないだろう。しかも月曜の午前ということで、閉まっていた。
 事務所に立ち寄ってきいてみると、オルガンを見せてくれるとのことで、管理をしている中年男性がカギを開けて教会の中に入れてくれ、その上鍵盤を見せてもらった。素人くさい書き方だが、オルガンというのは専門知識がないと何もわからない。鍵盤が何段もあり、周囲にペダルのようなものが所狭しと並んでいる。事務所に戻って少し話をしたが、オルガンは礼拝でも頻繁に使われるし、演奏会もたびたび行われているという。聴く機会がないのが残念だ。オルガンが現役なのにはホッとしたが、教会もどこからか予算がついて修復できれば良いのに、と願わずにはいられない。
 その後、教育学アカデミーへ向かった。ある研究室に立ち寄り、探していた本の他、同じ著者の別の本をいただいてしまった。さらに、いろいろ話をしていたら、探していたもう1冊の本もまだあることが分かり、これも購入した。職員が二人いたが、一人は私のことを覚えていた。ここを訪れたのは5年前なので、私の方が驚いた。
 まだ少し時間があったので、聖アンナ教会というところも訪れた。ここはさほど老朽化しておらず、良い感じであった。慌しい訪問ではあったが、久しぶりのリエパーヤ訪問を果たすことができて良かった。