ラトビア便り

ラトビア在住の日本人男性が、この国の文化を紹介。音楽情報などを通じてその魅力を探っていきます。

2011年12月4日

四つの世界と四大

また何か月もさぼってしまったので、まず最新情報から。
 イマンツ・コカルスという合唱指揮者が、90歳で亡くなった。
日本でいう「人間国宝」級の存在で、かつて率いていた混声合唱団アベ・ソルの指揮を子息のウルディス・コカルス氏に譲った後も、つい最近まで合唱コンサートや様々な音楽行事にゲストとして呼ばれていた。私は何年もお会いしていなかったが、街で偶然会ったりしても「おお元気か~」と抱擁してくれる、そんな暖かい人であった。
残念ながら先週火曜日の追悼行事は用事があって行けず、テレビで見たが、その業績と人となりをしのばせる盛り上がりであった。リーガ大聖堂で演奏会が開かれた他、自由記念碑の前でも大型スクリーンに彼の演奏の模様 が映し出され、大勢の人が集まっていた。いくら合唱音楽が盛んな国とはいえ、一人の合唱指揮者の死去に際してこれほどの行事を行なうとは、大変なことである。
 訪日経験もある。ソ連時代の1970年代だったはずだが、リーガと神戸が姉妹都市になったので合唱団とともに訪日したのである。だから日本には特別な親近感を持ってくれていたのかもしれない。もう昔のことなので、日本側には関係者はもういないのだろうか。日本でまだ誰もコカルス氏の訃報を知らないのだとしたら、残念なことである。

 もう1か月余り前のことだが、、11月1日、エストニアの作曲家アルボ・ペルトの作品ばかりの演奏会が、作曲家 自身を招いてリーガ大聖堂で開かれたのだが、あろうことか私はこれまた用事があって行けなかった。行った人 に話を聞いたら、素晴らしい演奏会で、ペルトと親交のあるラトビアの作曲家ペーテリス・バスクスやペレーツ ィスも来ていたよ、と言うので、インターネットのニュースサイトで写真を見たら、果たしてそうであった。
とても悔しくて仕方がないので(?)、自分が見に行ったバレエの公演のことを書こうと思う。

 というわけで、ようやく本題である。
10月28日、久しぶりにオペラ座へ足を運んだ。しかも、バレエの公演である。
四大(しだい)というのは、ギリシャ思想などで世界を構成する4要素、火、水、風、土のことなので、このよう に訳してみた。

 前評判だけでなく、14日の初演も非常に好評で、とても興味がわいたので、3日前にチケットを買いに行った。
左端のマス席に陣取った。舞台左方が見えないが、かなり近いので踊り手の細かい動き等を観察することができ てなかなか面白い。特に高い席というわけではなく、はっきりいうと、千円もしなかった。中央最前列もそれほ ど高くなかったようだが、私が買いに行ったときにはもう売り切れていた。

 バレエはタイトルの通り、4部構成で、第1部がアルトゥルス・マスカツの「タンゴ」、第4部がペーテリス・バスクスの作品で、第2部と第3部は日本でも知られているようなクラシック・バレエの定番であった。4部構成とはい っても、振り付けなどが全く異なっていて、飽きさせない。とにかく、最初と最後にラトビアの作曲家の作品を 据えたというのが素晴らしい。
 そうしたら、先週、バスクス氏に久しぶりにお会いした。リーガ中央駅の近くで、全くの偶然である。11月30日 にバレエの公演があるというので、「10月に行きました」と言ったら、とても喜んでいた。