詩人の誕生日
先週、例の如く15番トロリーバスに乗って帰宅する途中、友人のJ嬢に声をかけられた。詩人のP. ブルーベリスが50歳の誕生日だから、お祝いに行こうというのである。中央駅の売店で花を買い、電車に乗り換えた。
しかし、我々の向かう先は彼の自宅とは全く違う。すぐ分かったが、作家連盟の所有する宿に泊まり込み、仕事をしていたのである。我々が到着した時には夜10時を回っていた。
50歳の誕生日なら、さぞかし大勢人が集まって、にぎやかにお祝いしているのだろうと思ったが、ブルーベリスの娘と、若手詩人(男)がいるだけで、ご本人はもうベッドに横になっていた。我々ふたりはお祝いの言葉を述べ、花を渡し、ワインを飲んでおしゃべりしていた。
私は翌朝リーガで用事があるので、ひとりで寝てしまい、起きて、始発電車で帰ったのだが、男二人が見送りにつきあってくれた。ブルーべリス氏は、50歳のお祝いなんて、年取ったような気がして嫌なのだという。「劇場などから招待状をたくさんもらったが、どれにも行かないでここで仕事をしていたんだよ。何だかマゾヒストだよな、ハハハ」
...やはり詩人や芸術家というのは、どこか変わっている。