2月中旬、モロッコを旅行した。生まれて初めてのアフリカ上陸である。といっても北アフリカのいわゆるマグレブ地方、アラブ色が強いイスラム教の国で、アフリカに来た、という実感はそれほどなかった。それでも、アラブ人がイスラム教をもたらす以前の先住民であるベルベル人の文化や言語も息づいており、また旧フランス植民地で、今でもフランス語がどこでも誰にでも通じるということで、いろいろなことを考えさせられる刺激的な旅であった。
さて、モロッコから帰ってきたのは2月20日なので、ブログの更新を怠っていたことには言い訳のしようがない。モロッコでは北部のフェズという町から車を雇って山岳地帯を回ってみたら、寒くて雪が降っていたので驚いたが、リーガに戻ってみたら小雪がちらついていたものの、感覚的に暖かいなあと思ったものだ。しかしその後、大雪が続いてあちこちの建物で屋根が崩落したり、一部地域では洪水の恐れが出ているなど、大変な状況なのである。
3月6日、久しぶりに本屋さんを回ってみた。以前から気になっていた本があったので何軒かの書店で値段を調べたところ、他店より安い(ラトビアでの書籍流通は、日本のような再販制度ではないので店によって値段が違う。日本の方が社会主義みたいである)のを見つけ購入した。いつかここで取り上げた、ラトビア大学のクルスィーテ教授が編纂した『民族学辞典』である。本当はこんな堅苦しい書名ではないので、やまと言葉か何かで風流に(?)訳したいところだが、どうもうまくいかない。この先生はこれまで何冊か事典を出しているが、今回出たのはとにかく厚く、中身が濃い。値段はかなり高いが致し方ないだろう。今財政難で、半世紀以上にわたり毎月出ていた文学雑誌も、2カ月に一度程度になっているご時勢なのに、こういう本をどこが出したのかと思ったら、国家無形文化遺産局という政府機関であった。ゆっくりページを繰って楽しんで読みたいと思っている。