現代室内楽コンサート
現地のアコーディオン、クァクレ(民族楽器)、フルート奏者からなる室内楽団アルテラ・ウェリタスの演奏会を聴きに、水曜日小ギルドに行って来た。我々が北條陽子さんのリサイタルを開催した、あの小ギルドである。
ペレーツィス氏から「私の委嘱作品の初演がありますので、是非来てください」とお誘いを受けていたものである。その前の予定が中途半端だったので早めに着いてみると、なぜか開演ぎりぎりまで開場しないので、大勢人がたまっていた。ペレーツィス夫妻にお会いしたら、11月の「ラトビア・レクイエム」のライブCDをいただいてしまった。私のようにきわめていい加減な人間は、こういう律儀な方にはまったく頭が上がらない。会場には国際的に有名なペーテリス・バスクス、また「タンゴ」で一躍有名になったアルトゥルス・マスカツも来ていた。
プログラムは、第1部がトゥムシェビツァ、オリベイロ、サンタ・ブッシュ、ダイナ・クリビキェという、若手作曲家たちの作品。オリベイロはオーストラリアの人らしいが、ラトビア民謡をモチーフにした作品を発表。第1部のみ、スクリーンに写真家の作品を映し出しながら演奏が行われる、と言うものであった。第2部は我らがペレーツィスの委嘱作品「朝の歌」初演に始まり、シュミードベルクスの「悲しみの踊り(ただ、訳には自信がない)」、若手ゼニーティスの「消えゆくアリア、こぼれた合唱団(これも訳に自信がない)」で締めくくった。
バルト三国の現代音楽は、旋律も和声もないめちゃくちゃなものでも、節度があるというのか、比較的わかりやすい作品が多く、この日演奏された曲も、作者の名前すら知らなかったが、楽しめた。それでも、ペレーツィスの「朝の歌」は和声ときちんとした旋律を持った我が道を行く曲で、一服の清涼剤とでもいえる位置づけであったと思う。